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成年後見制度申立て手続きについて解説!法定後見制度・任意後見制度利用までの流れ

成年後見制度申立て手続きについて解説!法定後見制度・任意後見制度利用までの流れ

2022/03/11

認知症や障害、その他の事情により自分で意思決定をするのに不安があるという場合、「成年後見制度」の利用を検討しましょう。ただし同制度を利用する上では裁判所を介する必要があり、さらに、成年後見制度の種類に応じた手続きを進めていかなくてはなりません。

そこでここでは「成年後見制度ってどんな流れで利用できるの?」と疑問を抱いている方に向けて、大まかな手続き内容を解説していきます。

成年後見制度の概要

そもそも「成年後見制度」とは、判断能力が不十分な方を保護・支援するための制度です。

知的障害や精神障害、認知症の方、あるいは加齢により判断能力に不安があるという場合だと、大きな契約を結ぶときのリスクが大きくなってしまいます。適切な意思決定に基づいた交渉ができなかったり、自己に不利益な内容で合意をしてしまったりといった事態に陥る可能性が高くなります。上手く交渉できないのみならず、悪質商法の被害にも遭いやすくなってしまいます。

そこで特に不動産に関する契約や預貯金などの財産管理、介護サービス等の契約、遺産分割の協議などの場面では、この判断能力を補填する形でサポートする人の存在が重要となります。

同制度を利用することで、そのサポート役として後見人等がついてくれるのです。

法定後見制度と任意後見制度の2つがある

成年後見制度には「法定後見制度」と「任意後見制度」の2種があります。

それぞれの概要は下表の通りです。

法定後見制度 任意後見制度
・本人の判断能力が十分でなくなった後で利用する制度 ・家庭裁判所が事案に応じて「成年後見人」「保佐人」「補助人」を選任 ・成年後見人等は、法律に定められた権限に従う ・後見監督人等(後見監督人、保佐監督人、補助監督人)の選任は、家庭裁判所の判断により、必要に応じて行われる ・本人の判断能力が十分なうちに、判断能力が不十分になった場合に備えてあらかじめ利用する制度 ・本人が任意後見人とその権限を決める ・任意後見監督人の選任は必要的

他にも細かく異なる特徴がありますが、おおむねこのような違いがあると言えます。

法定後見制度の手続きの流れ

「法定後見制度」の手続きの流れは以下のようになります。

1.家庭裁判所への申立て

2.家庭裁判所による審理

3.審判の確定と登記

各手続を見ていきましょう。

家庭裁判所への申立て

法定後見制度を利用するには家庭裁判所への申立てが必要なのですが、そのために準備をしなければなりません。

必要な書類には例えば以下のようなものがあります。

・後見・保佐・補助・開始等申立書

・申立事情説明書

・親族関係図

・財産目録、その他財産に関する資料

・収支予定表

・診断書

他にも様々な書類を記入・作成する必要がありますし、申立人の状況に応じて準備すべき書類が異なることもありますので要注意です。

準備ができればすべての資料を提出するのですが、申立て先の裁判所は、「本人の住民票上の住所地を管轄する家庭裁判所」ですので間違いのないようにしましょう。

また、申立ての権限を有する者は本人に限られないのですが、申立てが認められるのは「配偶者」や「四親等内の親族」など一定の人物に限られます。ここに当てはまらない場合には、親戚や仲の良い間柄であったとしても申立てることはできません。ただし法律上検察官や市町村長にはその権限が認められています。

家庭裁判所による審理

申立て後は、提出した書類などを用いて家庭裁判所が審理を始めます。

また、この際の審理では以下のことも行われることがあります。

・面接(予約した日時にて、1時間から2時間程度行われる)

・親族への意向の照会(親族に対し、書面等によって申立て事実や候補者の氏名などを伝えた上で、意向を確認)

・鑑定(申立て時に提出した診断書とは別に家裁が医師に鑑定依頼を行い、本人の判断能力を医学的に判定する)

・本人と候補者に対する調査

審判の確定と登記

審理の結果が書面で知らせられます。

申立人が希望した通りの結果になるとは限りませんし、状況を鑑みて複数の成年後見人等が選任されることもあります。

結果に納得がいかない場合には不服申立てをすることも可能ですが、2週間以内に不服申立てがなければ法的な効力が確定します。

そして確定後は、家裁が、法務局に対して審判内容の登記を行うよう依頼します。

なお、申立てから後見等の開始までが4ヶ月以内に収まることが一般的ですが、逆にいうと即日で利用できる制度ではありません。数ヶ月程度は要すると認識した上で備えをしていくべきでしょう。

法定後見制度利用に必要な費用

法定後見制度を利用するには一定の費用がかかります。

後見・保佐・補助のいずれにも、「申立手数料800円」「登記手数料2,600円」が必要です。保佐人と補助人の選任をする場合、各々の権限についての審判も行うのであれば別途800円が発生します。

そのほか、戸籍謄本や登記事項証明書、診断書などを取得するのにかかる費用、連絡用の郵便切手代なども必要ですが、こちらについても大きな金額には通常なりません。

鑑定料については事案によって異なりますが、10万円以下に収まるケースがほとんどです。

任意後見制度の手続の流れ

次に「任意後見制度」の手続きについてですが、こちらは以下のような流れとなります。

1.任意後見契約の締結

2.家庭裁判所への申立て

3.家庭裁判所による調査

4.審判の確定と登記

ポイントになるのは、「事前に当事者間で契約を締結すること」と、「契約の効力は家裁で認められてから生じる」ということです。

任意後見契約の締結

法定後見制度と違い、本人と後見人になろうとしている者が任意に契約を締結するところから始まります。

具体的には、本人と任意後見人となる者との間で、「財産管理や療養監護に関する事務等の代理権を与える」といった内容の任意後見契約を締結するのです。

ただし、この契約はその後の家裁での手続を経なければ効力を生じませんし、さらに公証人が作成する公正証書による締結が必要です。

そのため当事者間で任意に契約が締結できるといっても、公証役場に行かなければなりませんし、その効力を自由に生じさせることができるわけでもありません。

家庭裁判所への申立

家庭裁判所への申立て方法に関しては、法定後見制度の利用と大差ありません。

同じように「申立書」や「診断書」「財産目録」「親族関係図」「収支予定表」などを用意し、これに「任意後見契約公正証書の写し」を併せて提出します。

申立ての権限を持つ者もほぼ同じで、本人のほか、配偶者と四親等内の親族が申し立てをできます。また、任意後見人となろうとしている者も申立て権限を持ちます。

ただし、注意点として、「申立て後の取下げには家裁の許可を要すること」「本人以外の申立てにより任意後見監督人選任の審判をするには、本人の同意を要すること」が挙げられます。

任意に申立てができる制度とは言え、取下げが簡単にはできないためこの点留意しましょう。

家庭裁判所による調査

申立て後は、家裁による調査が行われます。

以下のような内容です。

・申立人や任意後見受任者の調査
裁判所にて、申立てに関する事情を質問される。
申立人に対してであれば申立てに至ったいきさつや生活状況、財産状況など、任意後見受任者に対してであれば、後見人としての適格性に関することが問われる。

・精神鑑定
本人の判断能力につき精神鑑定が必要と判断された場合、鑑定手続きが行われる。
この鑑定には5万円~10万円程度の費用を要するため、申立人による事前の納付が必要。

・親族への照会
必要に応じて、本人の親族に対し照会書を送付するなどして意向を確認。

これらは常に行われるものではありませんし、各家裁による運用が異なることもあります。また、申立人や本人、受任者の状況によっても具体的な内容は異なります。

審判の確定と登記

提出した書類や本人の意向、心身の状況、調査結果などを総合的に審理し、任意後見契約の効力を発行させるべきか否かが判断されます。

必要と判断されれば「任意後見監督人」を選任する旨記載の審判書が本人、任意後見受任者、任意後見監督人に郵送され、その受け取り後、任意後見が始まります。

審判書の郵送後、裁判所の嘱託によって後見の登記が行われます。

任意後見制度利用に必要な費用

任意後見制度を利用する上では任意後見契約の締結が前提であり、当該契約は公正証書の作成をもって行われなければなりません。また登記の嘱託なども行われますし、主な費用として以下が発生します。

・公正証書作成手数料  :11,000円

・登記嘱託手数料    :1,400円

・登記所に納付する印紙代:2,600円

後見人等には信頼できる専門家を付けよう

本人のサポートを行う後見人等の役割は重大です。信頼できる相手であることはもちろん、法的に適切な判断ができる人であることも必要です。

そこで、後見人等には司法書士などの専門家に任せることがおすすめで、実際そのように申立てを行うケースが多いです。

任意後見制度のみならず、法定後見制度でも後見人等になる者の推薦ができますので、信頼できる専門家を探して依頼してみると良いでしょう。

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