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代襲相続が開始される要件とは?代襲相続人となれる範囲や養子・兄弟姉妹に関する注意点など代襲相続が開始される要件とは?

代襲相続が開始される要件とは?代襲相続人となれる範囲や養子・兄弟姉妹に関する注意点など代襲相続が開始される要件とは?

2023/01/17

相続人となれるのは、亡くなった人(「被相続人」と呼ぶ)の配偶者や子、親などの直系尊属、兄弟姉妹です。
配偶者は常に相続となる権利を得、子・直系尊属・兄弟姉妹はこの順で相続権を得ることができます。子がいない場合は第2順位の直系尊属が、直系尊属がいない場合は第3順位の兄弟姉妹が相続人になるのです。
ただし、子がいない場合でも「代襲相続」が発生することで第2・第3順位に順番が回ってこないケースがあります。同様の現象が兄弟姉妹のいない場合でも起こり得ます。
この記事では「代襲相続とは何か」ということに触れた上で、その「代襲相続が開始される要件」について詳しく説明していきます。

代襲相続とは

そもそも代襲相続とは、本来相続人となるはずであった人物が相続権を得なかった場合に、その人物の直系卑属が代わりに相続をすることを意味します。
※直系卑属とはある人物の子や孫などのこと

被代襲者(本来相続するはずであった人物)を介して自分が遺産を取得する流れになっていたはずが、被代襲者の事情で一切の相続権を失うのは相当でないため、このような制度ができているのです。

そのため代襲相続が発生すると、代襲者は被代襲者と同等の権利義務を承継することができます。
ただし被代襲者に複数の子がいる場合、実際の取得分は分割されますのでその分小さくはなります。

代襲相続が発生する要件

代襲相続の発生要件に関しては、民法に規定が置かれています。

被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。

引用:e-Gov法令検索 民法第887条第2項
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089



この規定に沿って、各要件を解説していきます。

被代襲者が相続開始前に死亡していること

上に挙げた条文には、被相続人の子が「相続開始前に死亡したとき」を要件として定めています。

代襲者からすると、祖父母より先に親が亡くなったことが原因で自身の相続できる分が減ったことになります。これを防ぐため、相続権が次の世代に与えられるように法定されています。

被代襲者が相続開始前に相続欠格となっていること

上の条文には、被相続人の子が「第891条の規定に該当したとき」も要件として定められています。

そして第891条の規定とは、“相続人の欠格事由”を定めた条文のことです。
この条文では、相続人としてあるまじき行為をした者から相続権を剥奪する旨規定されています。例えば「自らの取り分を増やすために推定相続人を死亡させた」「被相続人を故意に死亡させた」「強迫や詐欺により遺言の撤回・変更等をさせた」といった事情がある場合には相続欠格となり、相続する権利はなくなります。

ただしこれはその人物のみの問題であり、ただその人物の子であるというだけでその子まで相続権を剥奪すべきではありません。
そこで、親が相続欠格になった場合にはその者の子が相続することができるのです。

被代襲者が相続開始前に廃除となっていること

第887条にはさらに、「廃除により相続権を失ったとき」も代襲相続が開始されると定めてあります。

廃除とは、欠格事由ほどではないものの、被相続人に対するひどい行為をしていた場合に相続権を剥奪するという制度です。
欠格事由に該当する場合は自動的に相続権が剥奪されるのに対し、廃除に関しては被相続人が積極的に手続を行わなければその効果が生じません。具体的には「被相続人に対して虐待をしていた」「重大な侮辱をしていた」「他の推定相続人に対して著しい非行があった」といった事情があり、その上で被相続人が廃除を家庭裁判所に請求することで効力を生じさせることができます。

廃除に関してもその者だけの問題ですので、他者に悪影響が及ぶのは相当ではありません。そのため廃除された者の子は相続することができます。

被代襲者となれる人物

上記のような背景がある場合に代襲相続が起こるのですが、被代襲者となれる立場は限定的です。被相続人の“直系卑属”もしくは“兄弟姉妹”でなければなりません。

そのため被相続人の配偶者や親を基準として代襲相続は起こりませんし、遺贈を受ける受遺者に関しても同様です。

代襲者となれる人物

代襲者となれるのは、相続人の直系卑属であるとともに、①被相続人から見ても直系卑属であるケースと②被相続人から見て傍系卑属であるケースに限られます。

①は相続人が子であるとき、②は相続人が兄弟姉妹であるときのことです。

また、①に関しては「再代襲」も起こり得ます。
つまり代襲者に関しても同様に死亡・欠格・廃除があり相続権を失っているときには、さらにその子が相続権を得ることができるのです。

一方、②に関して再代襲は起こりません。
そのため甥っ子や姪っ子が代襲者となることはできても、さらにその子が再代襲することはできないということになります。

なお、代襲者に関しても欠格事由に該当したり廃除されていたりすると相続をすることはできません。

代襲相続に関する注意点

被相続人が養子縁組をしていた場合や相続人が相続放棄の手続をした場合、代襲相続ができないことがありますので、その直系卑属は注意する必要があります。

養子の子は代襲相続できないことがある

養子縁組をしている場合についてですが、まず、養子であっても相続人になることは可能です。

ただし問題は“養子の子”です。

養子縁組をした後に生まれた養子の子(被相続人の孫)は、代襲相続をすることができます。
しかし養子縁組前にすでに生まれていた養子に関しては代襲相続できません。養子縁組で関係性が構築されるのはあくまでその当事者に限るのであり、養子の子だからといって自動的に他人と親族関係ができあがるわけではないのです。

相続放棄をした者の子は代襲相続できない

相続人に欠格や廃除がある場合、相続権が剥奪され、その子らが代襲相続の権利を得ます。
しかし相続人が相続放棄により自ら相続権を放棄した場合には代襲相続もできません。

相続放棄をすると「その者は初めから相続人ではなかったものとなる」という法的効力が生じるからです。

そのため相続放棄をする方は、相続放棄による他者への影響も考える必要があるかもしれません。

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