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生前贈与の方法と注意点を解説!相続税や贈与税課税への対策など

生前贈与の方法と注意点を解説!相続税や贈与税課税への対策など

2023/06/19

この記事では、相続税対策としてよく注目される「生前贈与」に焦点を当てて、手続方法や注意点を詳しく解説します。生前贈与をするときに無視できない贈与税の問題、トラブルを避けるための対応なども紹介していきます。

生前贈与をするときの手続

生前贈与を行うにあたり、まずは何を贈与するのか、その方法などの検討から始めます。税金についても考慮し、生前贈与を行うことが適切であるかどうかについての検討も行いましょう。

贈与をすることが決まれば、当事者間で契約書を交わし、財産の移転を実行します。その後必要に応じて贈与税についての申告や納付を行います。

以下で、各手続の詳細を紹介します。

贈与内容や方法の検討

まずは贈与内容、方法について検討します。「誰に」「何を」「何のために」贈与するのか、あらためて考えていきましょう。

専門家に相談して、贈与税の課税方法についての選択も考えましょう。贈与税課税の基本は「暦年課税」であり、1年間110万円までの基礎控除を適用することができます。これに対して「相続時精算課税制度」というものもあります。こちらは2,500万円まで贈与税を非課税にすることができ、贈与時における税負担を大きく軽減することができます。しかしながら所定の要件を満たす必要がありますし、相続時にその分の清算が必要です。

そのため相続税とのバランスも考慮して、どちらにすべきかをよく考える必要があります。税金の計算については税理士に相談すると良いでしょう。

贈与契約書の作成

贈与を行うことの意向が定まれば、当事者間で贈与契約書を作成します。贈与は契約書という書面を作成しなくても有効に成立させることはできるのですが、これを作成しておいた方がトラブルも避けやすいですし、作成するのが通常です。

また後述するように、贈与したことの証明をできるようにしておくことが、課税上のトラブル回避にもつながります。そのため贈与契約書は実質作成が必須のものであると捉えておきましょう。

なお、贈与契約書を作成するときは、贈与を行う日付や当事者名、贈与した物などを確実に明記しておきます。契約書作成の細かな方法に関しては、司法書士など法律の専門家に依頼して作成してもらうことをおすすめします。

財産の移転

贈与契約書も作成できれば、贈与対象の財産を実際に移す手続へと進みます。とはいえ、現金やその他動産などは手渡しするだけで良く、特別な手続を行う必要はありません。しかしながら、所有権を移ったことを示すためにも、銀行振り込みで対応することが推奨されています。銀行振り込みとすることで、第三者が見ても贈与があったことの確認が取れます。

自動車など、登録制度に基づいて管理されている財産については、別途名義変更の手続が必要です。

不動産の場合は、所有権移転登記の申請を登記所で行う必要があります。贈与者および受贈者が必要な書類を準備して、共同で登記申請を行いましょう。

※委任状を作成すれば一方に手続を任せることも可能

税の申告と納付

贈与した財産の価額に応じて贈与税を納付しないといけません。

もっとも贈与申告書の提出と納税の義務が課されるのは贈与を受けた人であって、贈与をした人ではありません。

課税方式についての手続を何ら行っていない場合は暦年課税制度に従うこととなり、1年間で受け取った財産の価額が110万円を超えているときは贈与税の計算をし、申告書を税務署に提出しないといけません。

納付額が0円になるときでも、相続時精算課税制度を利用する場合には、贈与税の申告自体は必要です。

なお、不動産を生前贈与する場合は、「登録免許税」と「不動産取得税」も課税されます。

●登録免許税

不動産の名義変更の際に課税される国税。固定資産税評価額に2%を乗じて算出される。

●不動産取得税

不動産を取得したことに際して課税される地方税。令和6年3月31日までに取得した場合、不動産の種別に応じて3~4%の税率が適用される。

相続税以外の税金との比較が重要

「早く特定の財産を与えたい」といった目的ではなく、「節税をしたい」という目的で生前贈与をする場合は、生前贈与が本当に節税になるのかどうかを考えなくてはなりません。というのも、基本的に贈与税の方が相続税より税負担が重くなるように設計されているからです。

そのため仕組みをよく理解し、贈与税や相続税、課税方法や特例など、税制全体を見渡した上で具体的なアクションを起こすことが大切です。

非課税で生前贈与する方法

生前贈与をする場合に知っておきたい制度は次の通りです。これらをうまく適用することができれば、大きな財産であっても非課税で生前贈与することが可能です。

贈与税を軽減するために使える制度
基礎控除 暦年課税制度において常に適用できる控除。1年間で受けたトータルの贈与額が110万円まで非課税となる。そのため110万円以下に抑えて贈与をすれば非課税で生前贈与を行うことも可能。
相続時精算課税の特例 60歳以上の親や祖父母等(直系尊属)から、18歳以上の子どもや孫等に対してする贈与に関して、2,500万円まで非課税にすることができ、相続時にその分の清算を行う。2,500万円超の贈与分については一律20%の税率で贈与税が課税される。
住宅取得等資金の特例 住宅の購入資金について直系尊属から贈与してもらうとき、最大1,000万円まで非課税にできる。
不動産の贈与に関する
配偶者控除
婚姻期間が20年を越える夫婦間で居住用不動産の贈与を行うとき、基礎控除に加え2,000万円までを非課税をできる。
教育資金
一括贈与の特例
30歳未満の子どもや孫に対して教育資金を贈与するとき、1,500万円まで非課税にできる。
結婚子育て資金
一括贈与の特例
直系尊属から、18~49歳までの子どもや孫に対して、結婚や子育てに関する資金を贈与するとき、1,000万円まで非課税にできる。

ざっと説明していますが、本格的に適用を検討するときは要件や上限額などをしっかりと調査しておく必要があります。適用できずに大金を贈与した場合、大きな贈与税が発生してしまいますので、税理士に相談してから生前贈与を行うようにしましょう。

生前贈与をするときの注意点

生前贈与をするとき、上記の通り特例等の要件を確認することは大事です。そのほかにも、節税効果を狙うのであれば次の点に注意しましょう。

●名義預金と評価されないようにすること

●相続開始前3年以内の贈与は相続税の課税対象になること

●贈与の証明ができる形で贈与を行うこと

●連年贈与と評価されないようにすること

各注意点をそれぞれ説明していきます。

名義預金と評価されないようにすること

銀行口座を作成し、そこに預金を振り込む形で贈与をするとき、その預金が「名義預金」と評価されないようにしないとけません。

名義預金とは、預金の名義が形だけであって、本当の管理権限を別の人物が持っているときの預金のことを言います。

子どもに生前贈与をする目的で銀行口座を親が開設したものの、当該口座は親が管理しており、子どもが自由に処分できない状態にあるとしましょう。そこに預金を振り込んだとき、確かに名義人は子どもになっているのですが、実質的な所有者は親にあります。このとき、当該預金は名義預金となり、贈与ができたことにはなりません。

結果、そのまま相続が開始されると相続税の課税対象として扱われてしまいます。

そのため生前贈与として成立させるには、口座の名義人である人物が自由に使える口座に対して振り込みを行う必要があります。

相続開始前3年以内の贈与は相続税の課税対象

生前贈与を行えばその分遺産が減り、相続税の課税対象となる財産が少なくなります。しかしながら「相続開始前3年以内の贈与に関しては相続税の課税対象になる」というルールが設けられており、相続の直前に贈与をしても生前贈与としての節税効果は得られなくなってしまいます。

この点注意し、計画的に、早いうちに生前贈与は行うことが大切です。

贈与の証明ができる形で行うこと

生前贈与の成立を税務署に対しても証明できる必要があります。そこで特定の財産が移転した形跡は残るようにして贈与することが大事です。現金を贈与するにしても銀行振り込みとするなど、その他財産についても手渡しはできるだけ避けて記録が残る手段を選択しましょう。

連年贈与と評価されないようにすること

毎年ぴったり110万円の贈与をしておけば、特例の適用やそのための申告手続なども行うことなく、楽に非課税で贈与を行うことができます。

しかし、初めから「10年かけて1,100万円の贈与をしよう」という意図の下、課税を避けるためにこのような行為を繰り返している場合、1,100万円に対して贈与税が課税されることがあります。
「1,100万円を10年かけて分割で受け取る権利を贈与された」と評価されてしまうことに由来します。これは連年贈与と呼ばれます。明らかに課税を避ける目的で分割にしているような場合は要注意です。

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